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10/26〜28[競走部]第96回日本陸上競技選手権リレー競技大会

飛躍の原点で2年ぶりの優勝 <牧野武>



 

牧野武(スポ4)
愛知県・時習館高校出身
自己ベスト400m:47秒02

 牧野武(スポ4)は日本選手権リレーに特別な想いを持っていた。
この大会で初めて正選手に選ばれたのは2年前。
3走として出場した当時の大会で、チームは27年ぶりの優勝を遂げる。
「大きな大会でエンジを着て走り、優勝できたことが自信になった。この大会は大学陸上で飛躍する上でのきっかけ」と話すように、翌年から牧野の記録は急上昇したのだ。

 そして2年後の今日、自身の引退レースとなったこの大会で再び栄冠を手にした―。


  早稲田の駅伝はよく、「一般入試の選手が戦力に加わると強い」と評される。
牧野も短距離ブロックでは同じ位置にいるのかもしれない。 リレーメンバーの大多数が高校時代の実績による推薦で入学する傍ら、牧野は一般受験を経て早大競走部の門を叩いた。

 壁は早速やってくる。
慣れない環境に1年目は戸惑った。その上、受験勉強をしていたために、練習についていけない。「正直、本当に苦しくてやめようかなと頭をかすめたこともあった。」と当時を振り返る。
しかし、「諦めたくないという気持ちがあった」牧野は、踏ん張ることを決意した。

 その粘りが功を奏し、「個人でもしっかり走れることが証明できた」大会が、3年目の関カレ。
初めての出場にも関わらず、予選で47秒台の壁を破ると、決勝では2位入賞。
続く全カレでも更に自己ベストを縮め、11月には47秒02と、46秒台目前に迫る記録を出す。なんと1年間で1秒もタイムを短縮させたのだ。
「やっと部員の一員になれた」ことを感じる1年だった。


 

引退レースとなった日本選手権リレーで有終の美を飾った。

 個人の底上げは勿論チームにも直結する。この年のマイルチームは全カレ予選・決勝、日本選手権リレーと早稲田記録を連発。
気づくと1走は牧野の定位置になっていた。

 そして迎えた4年目。
牧野が今年、目標に掲げていたのは『限界を超える―45秒台』。
結果的に個人では目標を達成することができなかった。
 しかし、牧野にはマイルのチームがある。
牧野ら最上級生が核となったチームで、創部初の関カレ・全カレ・日本選手権リレー3冠を達成。
「チームで勝ち取れたことは、個人で良い成績をとることより何倍も何倍も嬉しい」とチームへの想いが滲み出る。

 一般受験組の選手が台頭することで、チーム全体の士気をあげることができたのでは? と最後に聞いてみた。
すると、牧野らしい謙虚で穏やかな返事が返ってきた。
「4年間を通して周りに良い影響を与える存在になることができたのなら、それは本当に嬉しいです。」

 10年間に及ぶ牧野の陸上生活。実に人生の約半分を費やしてきた。その最後は晴れやかな満面の笑みでいっぱいだった。


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関連URL
早稲田大学競走部公式サイト

(TEXT、PHOTO=矢野真由実)

 


 
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